WoW パッチでもっと変わった事 ~閑話考~

From World of Warcraft
パッチが来てから数日経ち、不調をきたしていたAddon達も徐々に元気を取り戻しつつある。世のAddon製作者に感謝感謝。

そんな折、altのPriestを育てていると。ThunderBluffへの道中、その景色の美しさに驚いた。パッチでかなーり遠くまで描画するようになったらしいのと、空気遠近法がしっかりしている感じかな?

以前は、遠くのオブジェクトはシルエットのみの表示で、距離がある程度つまるとボコッと現れていた。しかし今は、薄いシルエットが不透明度を増しながら現れ、次に距離がつまるとシルエットでなく空気で霞んだ遠景として現れ始める。徐々にこれが鮮明になり、近景になる。遠景→近景への移行が非常に滑らかになったようだ。他にも、木の影が前より本体に忠実に地面に描画されていたり、と細かいところも綺麗になっている様子。

話が反転するようだが、WoW はMMOなのでリアルな描画、というには写実的な意味においてはFPS等に比べると大きく制限されている。ところが、ゲームを初めてみるとこれが随分綺麗に見えてくる。

これは何故だろうか?自らが魅了されているものを探ると、答えは世界の表現にあるように思う。
ただしFPSが物理的表現であるのに対し、WoWは物語的な領域に属する。前者は根拠を現実の物理現象に置き、後者は作者の想像力である。作者が魅せたいもの、その幻想をどれだけ構築できるか、ということである。
いいかえれば、FPSは「リアルな」表現。WoWは「美しい」表現、となる。

「ゲー ム世界を表現する」というのは、元来シングルゲームの得意とする所だった。MMORPGではゲーム世界よりプレイヤーが本能的に注意を向けるもの━つまり 他のプレイヤーがいるためである。他の人間を見ると、意識がゲームから現実に引き戻されるわけだ。WoWはこのバランスを変える事に成功したといえる。魅 力的な世界を作り上げることでゲーム世界の重力を強め、プレイヤーの意識をそこに留めおく。「強い装備を取りにダンジョンにいくギルメンたち」ではなく、 「悪魔討伐に向かう戦士たち」とプレイヤーに思わせる。
重力が最も強く作用したプレイヤーが集まるのが、RP(Roll Playing)サーバー。ここではプレイヤーはゲーム世界の住人として振る舞う。これは比喩的な意味ではなく、名前の通りゲーム世界の一市民を演じる。

作者が思い描いた世界を、いかにプレイヤーに伝えるか。これをMMORPGにおいて実践したことが、優れたゲームシステムと同等の価値をWorld of Warcraftに与えている。
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